小説

半分の月がのぼる空(7)

本編は前巻でおしまい。今巻と次巻は番外編の短編になるらしい。 読んでいて思ったのは時系列がわかりにくい事。いくらか読み進んでようやく、本編のあのあたりの話か、と理解できる。 なぜこのような並び方にしたのか不明。普通に時系列順に並べたほうがい…

薔薇のマリア(5) SEASIDE BLOODEDGE

作者:十文字青出版社/メーカー:角川書店 今回の物語の舞台はエルデンではなく、ZOOの面々の旅先であるシェードリーで始まる。そしてこの巻では、ZOOの面々はシェードリーに到着しない。 結論からいうとこの巻の大半はマリアローズ達がシェードリーに到着す…

薔薇のマリア(4) LOVE'N'KILL

作者:十文字青出版社/メーカー:角川書店 冒頭、一行目から、アジアン(♂)のマリア(♂)*1に対する愛の叫びが全開です。いつものことなので華麗にスルーしましょう。 内容は異界生物がエルデンにあふれ出すというもの。そしてマリアローズは手強い異界生物に追…

薔薇のマリアVer0 僕の蹉跌と再生の日々

作者:十文字青出版社/メーカー:角川書店 可愛いマリアローズ(♂)×それを追いかけ愛を語るアジアン(♂)……なんか腐女子が好みそうな設定だな。 導入は迷宮で魔術士コロナ*1のヘマに巻き込まれ危機一髪のところをアジアンに助けられるところから始まる。冒頭か…

神曲奏界ポリフォニカ ロマンティク・クリムゾン

作者:榊一郎イラスト:神奈月昇出版社/メーカー:ソフトバンククリエイティブ 文章に関しては前巻と同じで安定しているが、構成の点で少し物足りなさを感じる。カティオムとシェルウートゥの恋の物語を、主人公のフォロンとコーティ、そして周囲の人間関係…

神曲奏界ポリフォニカ ウェイワード・クリムゾン

作者:榊一郎イラスト:神奈月昇出版社/メーカー:ソフトバンク クリエイティブ 精霊を使役し力を発揮する神曲楽士が主人公。キネティックノベルは主人公が学生の頃の話のようですが、これは主人公が卒業後の話。 主人公のフォロンはまだ見習い社員。そのフ…

薔薇のマリア(3) 荒ぶる者どもに吹き荒れろ嵐

作者:十文字青出版社/メーカー:角川書店 前巻からの続き。前巻で勃発した番人とSmCの抗争が周囲の組織を巻き込みながら拡大化し、紆余曲折を得て終結するまでを描いている。 この巻でも前巻同様、多くの人が死んでゆく。そして残された人は、それぞれの生…

薔薇のマリア(2) 壊れそうなきみを胸に抱いて

作者:十文字青出版社/メーカー:角川書店 面白い。 前巻のようなダンジョンに潜ってばかりいるのとは全く異なる展開。さまざまな人物や組織が絡み合い物語が動き始める。 加虐的殺戮愛好会(SmC)、秩序の番人(モラル・キーパーズ)、昼飯時(ランチタイム)そし…

薔薇のマリア(1) 夢追い女王は永遠に眠れ

作者:十文字青出版社/メーカー:角川書店 読んでみた感じは普通。 ちょっと読めば、背後に膨大な設定があることはわかるが、それが邪魔してなかなか展開に結びついてゆかない*1。設定に凝った小説以上でも以下でもない。 文章は可もなく不可もなく、文章自…

ぷいぷい!

作者:夏緑出版社/メーカー:メディアファクトリー 主人公は寮暮らし。両親は考古学に入れ込んで研究や発掘に生活費をつぎ込んでいる。そのせいで帰省先のはずの家も売られ、主人公は帰る家もない。もちろん貧乏。 ヒロインはプライドだけは百人前、みんなの…

GOSICKs(2) ―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車―

作者:桜庭一樹出版社/メーカー:富士見書房 GOSICK番外編の2巻目。ミステリ的には大したことないけど、この作品の魅力はそこにはないので問題ないでしょう。 夏。他の生徒達が夏期休暇で帰省し、二人だけになった学園。けだるくも寂しい、どことなく既視感…

お留守バンシー(2)

前巻でよかった点を今巻にうまく引き継ぐと同時に、文体がふらふらして、おぼつかないという欠点をしっかりと修整している。内容もなかなか楽しい。強いて欠点を上げるとするなら、新しいキャラクターが出てくるのが、2/3を過ぎてからという点。*1まあ、些細…

神様家族(8)

作者:桑島由一出版社/メーカー:メディアファクトリー 最終巻。 最初は買う予定だったのですが、あとがきを読んで、「やっぱりやめようか……」と思いつつも購入。 この巻では佐間太郎がいなくなった後の世界を軸として、その周囲に過去の話を展開するという…

狼と香辛料

作者:支倉凍砂出版社/メーカー:メディアワークス 電撃小説大賞の銀賞受賞作。 まず世界の描写がうまい。秋の風景がよく描写されている。人物描写もなかなか秀逸。キャラクターの行動に筋が通っており、それがキャラクターの魅力を引き立てています。ヒロイ…

秘曲 笑傲江湖 第1巻〜第7巻

作者:金庸監修:小島瑞紀訳:岡崎由美出版社/メーカー:徳間書店 武侠小説*1。面白いとはうわさに聞いていたのですが、これほどまでとは思わなかった。武芸に生きる人々が生き生きと、面白おかしく、そして時には生々しく、あるいは殺伐と描かれている。む…

狂乱家族日記 四さつめ

作者:日日日[あきら]出版社/メーカー:エンターブレイン いきなり導入部で失敗してる、ライトノベルとしては珍しい作品。最初の章を読みながら、いったいコレは本当に日日日が書いたのか?と疑ってしまう。そして、残りの膨大なページをみて憂鬱になる。そ…

お留守バンシー

作者:小河正岳出版社/メーカー:メディアワークス 第12回電撃小説大賞受賞作品。 まず見るべきはキャラクター造形と世界設定。このあたりはしっかりと作ってある。問題点は文章力。素人目にもよたよたとした文体でとても頼りない。そして中盤まで展開に華が…

博士の愛した数式

作者:小川洋子出版社/メーカー:新潮社 登場人物の心の描写が上手い。文章の技法的には教科書的ですらある。それ以外に良い点を見つけられなかった作品。あとはひたすら当たり前のことを書いている。エンターテイメントとしては見るべきものが少ない。 ちょ…

想いはいつも線香花火(3)

作者:一色銀河出版社/メーカー:メディアワークス 独特の文体が空回りしすぎている。主人公が空回りしてるから、文章も空回りさせて臨場感をだそうとしているのだろうが、読んでいて疲れる。そしてなかなか物語は進まない。 内容はいつものように「これどこ…

半分の月が昇る空(6)

作者:橋本紡出版社/メーカー:メディアワークス 本編の最終巻。ちょっと評価しにくいというか何というか……。こういうのもありかなとは思いますが、最善ではないように思う。でもきっとそれは、大人になって色々なものが見えるようになった私の我が儘なので…

坂の上の雲(1)〜(8)

作者:司馬遼太郎出版社/メーカー:文藝春秋 最初の方の巻は、正岡子規*1、秋山好古*2、秋山真之*3を中心に物語りが回ってゆく。時代は明治維新〜日露戦争の日本。 国も民も貧しく、主たる産業は稲作のみ。イギリス、フランス、アメリカ、ロシアなどの列強は…

ZOO

作者:乙一出版社/メーカー:集英社 乙一の短編を集めた真っ赤な本。帯にジャンル分け不能だの驚天動地だの大げさな言葉が踊っているが気にする必要はない。しょせん評論家のジジイのたわごとだ。私たちは単純にまとまりや主題のないサブカルチャー的な短編…

狂乱家族日記 参さつめ

作者:日日日[あきら]出版社/メーカー:エンターブレイン 狂乱家族日記の参さつ目。文章の評価についてはもはや語るまでもないが、それでも言わせてもらうと、この巻ではライトノベルにありがちな設定の付け加え方に見るべきものがある。設定を説明する設定…

狂乱家族日記 弐さつめ

作者:日日日[あきら]出版社/メーカー:エンターブレイン 積まれている本を崩そうと手に取ったのが狂乱家族日記の弐さつめ。参さつめも積んだまま。早く崩したいが、最近なかなか時間をとれない。日日日は執筆ペースが速いから気を抜くとあっという間に積み…

楓の剣!

*1 作者:かたやま和華出版社/メーカー:富士見書房 富士見ヤングミステリー大賞の佳作。 可もなく不可もなく、ごく普通の作品。序盤の楓と弥比古の軽快なやりとりはなかなかいい。江戸の街の賑やかな様子もよく描写されている。ただ物語の展開はありきたり…

神栖麗奈は此処に散る

時間軸は前作の前の話。人間ではないものの存在としての神栖麗奈の誕生までを描いている。 実に惜しい作品。まず驚くのは1章の神がかった出来の良さ。地の文や会話文を用いて、直接、間接を問わず、催眠誘導的な技法を凝らして描かれている。そのため作品世…

神栖麗奈は此処にいる

一作目同様、絵が無く地味な表紙。着想はよくある系統の作品。こういったカラーの作品を読んだことがなければ、読み始めとして最適かもしれない。 以下ネタバレ

アンダカの怪造学(2)

作者:日日日[あきら]出版社/メーカー:角川書店 相変わらず。安定した文章、しっかりした構成。文字は多めだけれども、読みやすい工夫がされている。文に華はないが、地味ということもなく、安心して読める。 一冊の中に含まれる伏線の量も多すぎることもな…

神様家族(7)

作者:桑島由一出版社/メーカー:メディアファクトリー いつもの通り。前半は軽いギャグから入って、後半にゆくにつれてシリアスな展開。 ちょっとギャグの部分が上滑りしている感じがしたから★2.5個にしてるけど、ストーリーやテーマ自体はありがちだがそれ…

亡国のイージス(上)(下)

作者:福井晴敏出版社/メーカー:講談社 ロードショー公開前に買ってそのまま積まれていたのを発掘。結局映画も見に行かなかったのだが見つけたついでに読んでみた。 上巻は序章で主要人物の過去を洗っている。この部分はさすがに読者を引き込むために気を遣…