亡国のイージス(上)(下)

作者:福井晴敏
出版社/メーカー:講談社

 ロードショー公開前に買ってそのまま積まれていたのを発掘。結局映画も見に行かなかったのだが見つけたついでに読んでみた。
 上巻は序章で主要人物の過去を洗っている。この部分はさすがに読者を引き込むために気を遣っている。エンターテイメント小説はこうでなければならない。ただその後は、けっこう退屈。延々とそれぞれの人間関係などの下地づくり。しかもこの人間関係は下巻になってようやく生きてくる。それまでは頑張って地味な文章を読まなければならない。上巻も後ろに近くなると、展開が早くなり、これから面白くなるという余韻を持たせて上巻が終わる。
 下巻は、上巻に比べ展開も早く、上巻でしっかりと下地を作っているだけあって面白い。肝心な部分の落ちについては、やはりという印象。新鮮さはないが納得できる落ちではあった。
 上巻を頑張って読み切れば、それなりに面白い。