狂乱家族日記 四さつめ

作者:日日日[あきら]
出版社/メーカー:エンターブレイン

 いきなり導入部で失敗してる、ライトノベルとしては珍しい作品。最初の章を読みながら、いったいコレは本当に日日日が書いたのか?と疑ってしまう。そして、残りの膨大なページをみて憂鬱になる。その原因は視点移動。導入部であまりにぽんぽんと視点が移り変わるので、物語に入り込む余裕がないのだ。そのせいで少し読んでは苦痛に感じて読むのを止め、また少し読んでは止め……結果として最初の章を読むのに三日もかかってしまった。最初の章を過ぎると、その訳の分らない視点移動の頻度も減り、物語へと入りやすくなる。けれども、そこまで我慢して読み通せる人がどれほどいるのか疑問である。
 今回は珍しく、狂乱家族が狂乱を引き起こすのではなく、巻き込まれるという受け身の形となっている。それ以外にも宇宙クラゲの意外な姿など、今後のための伏線も張られている。
 中盤〜後半にかけての物語の収束のさせ方がちょっと雑だったのが残念。さすがに日日日といえど、この執筆ペースはつらいのかもしれない。