神曲奏界ポリフォニカ ウェイワード・クリムゾン

神曲奏界ポリフォニカ ウェイワード・クリムゾン 作者:榊一郎
イラスト:神奈月昇
出版社/メーカー:ソフトバンク クリエイティブ

 精霊を使役し力を発揮する神曲楽士が主人公。キネティックノベルは主人公が学生の頃の話のようですが、これは主人公が卒業後の話。
 主人公のフォロンはまだ見習い社員。そのフォロンが初めてもらった神曲楽士としての仕事の失敗がきっかけとなり、ユフィンリー、フォロン、フォロンの契約精霊であるコーティカルテは事件へと巻き込まれることになる。
 話の展開などは素直。きちんと展開を作って、最後もうまくまとめている。
 よく見かける系統の話とはいえ、主人公が事件に巻き込まれることになるきっかけが、問題解決の糸口になったりと、展開は工夫されている。
 文章を一言でいうと隙のない描写。文字量は多い。だが読みにくいという事はなく、むしろ読みやすい*1。気楽に読める*2榊一郎のいつもの文章と思えばいい*3

*1:ただし文章自体に魅力があるわけではない。

*2:ライトノベルというジャンルである以上、気楽に読めるいうのは重要な要素だと思うのです。

*3:この人の文章は一定品質を保ち安定している。

薔薇のマリア(3) 荒ぶる者どもに吹き荒れろ嵐

薔薇のマリア(3) 荒ぶる者どもに吹き荒れろ嵐 作者:十文字青
出版社/メーカー:角川書店

 前巻からの続き。前巻で勃発した番人とSmCの抗争が周囲の組織を巻き込みながら拡大化し、紆余曲折を得て終結するまでを描いている。

 この巻でも前巻同様、多くの人が死んでゆく。そして残された人は、それぞれの生き方を見つけてゆく。SmCと番人の抗争は一応この巻で決着がついている。物語は始めるより終わらせることのほうが難しいというが、それなりに納得ゆく決着のつけ方だし、よく出来ていると思う。

 ところで髭の言う守秘義務ってどういう事でしょう? もしかしてマリアローズって……、いやそれだとそもそもの設定が……。まあ、今後の巻を読むときの楽しみが増えたということで納得することにした。

薔薇のマリア(2) 壊れそうなきみを胸に抱いて

薔薇のマリア(2) 壊れそうなきみを胸に抱いて 作者:十文字青
出版社/メーカー:角川書店

 面白い。

 前巻のようなダンジョンに潜ってばかりいるのとは全く異なる展開。さまざまな人物や組織が絡み合い物語が動き始める。

 加虐的殺戮愛好会(SmC)、秩序の番人(モラル・キーパーズ)、昼飯時(ランチタイム)そしてZOO。

 SmCとモラル・キーパーズの対立を軸として、数多の組織が抗争へと巻き込まれてゆく。

 SmCのSIXは反吐が出そうになる典型的な悪役として描かれている。SIXを縛るものは何もない。逆に、義を唱えながらも、さまざまなしがらみが邪魔をして動けない番人。そして昼飯時の頭領としてメンバーを守るべく、仕方なしにSIXに飼われる決断をするアジアン。

 ZOOのマリアローズと、番人のベアトリーチェが巻き込まれた事件を発火点として、皆がこの抗争へと巻き込まれてゆく。
 それぞれの登場人物が何を思い、何を糧にして生きているのかがよく描かれている。

薔薇のマリア(1) 夢追い女王は永遠に眠れ

薔薇のマリア〈1〉夢追い女王は永遠に眠れ 作者:十文字青
出版社/メーカー:角川書店

 読んでみた感じは普通。
 ちょっと読めば、背後に膨大な設定があることはわかるが、それが邪魔してなかなか展開に結びついてゆかない*1。設定に凝った小説以上でも以下でもない。
 文章は可もなく不可もなく、文章自体が魅力的ということもない。
 登場人物は描き分けているけど、特別魅力的なキャラクターがいるわけでもない。ほとんどのキャラクターはファンタジー小説でよくみかけるような味付けがされている。
 膨大な設定があるという以外はベーシックなファンタジー小説

*1:この巻では、ほとんどダンジョンに潜りっぱなし。ダンジョンの雰囲気はよく描けている。

機神飛翔デモンベイン

機神飛翔デモンベイン メーカー:ニトロプラス

 コンプ。アクションシーンは可もなく不可もなくという感じ。
 前作を遊んでないと訳が判らない展開が続くため、前作のプレイは必須。
 プレイ時間は6時間強。短いけど、密度は濃い。後半3時間くらいは、前作終盤のような展開が続くので、前作が好きな人にはおすすめ。だたし前半は、よっしゃー燃えてきたー、と思った瞬間に場面が切り替わるので、燃え切れずにストレスが溜まる。頑張って前半を乗り切る必要がある。*1
 本作は非18禁なのだが、えちシーンが無いせいで違和感を感じる場面がいくつもある。18禁で出せば表現の幅も広がり、もっといい作品になったような気がする。そのあたりが少し残念。

*1:ようするに後半に入るまで焦らされるわけだ。

 世間はすっかりキミキス一色のようです。そんな中デモンベインをやってるわけですが、今のところ値段の割に微妙な気がする。すくなくとも前作を覚えていなければ、燃えられません。私はというと、何年も前の作品を覚えているわけもなく当然燃えられないわけです。さらに良作への道での情報によると小説版も読んでおいたほうがいいようです。
 それはそうと、つわ萌えどもが夢の跡この妄想この記事を読んでいると、やたらとキミキスをやりたくなってきた。
 キミキス発売前の妄想が無駄に熱い。妄想は人間にとって大切な要素だと改めて思い知らされる。

魔法が世界を救います!

魔法が世界を救います! メーカー:アナスタシア

 パッケージは可愛い女の子が床にぺたんと座って魔女っ子帽子を被り、上目遣いで見上げてる絵。裏を見る。育成パートという文字が目に飛び込む。もしかして、魔女っ子育成ゲームか? 思わず衝動買いしてしまう*1
 ゲームを始めて最初に出てきたのは、頭身が高く目つきの悪い女性。目つきだけでなく口も悪い。主人公のお母さんかお姉さんかな? そう思いゲームを進める。
 しばらくして、

「なんかおかしいな?」

いやな予感が脳裏をかすめる。

「もしかして……この頭身の高い女性がヒロインか?」

パッケージの絵と立ち絵を見比べる……。

「別人だよな?」

もう一度パッケージを見る。
「うん別人だ」
念のため説明書を見てヒロインの名前を確認する…………。

「やられた。ママン嘘だといってくれorz」

 目つきの悪いお姉さんは、ヒロイン本人だった。


 やる気のなくなったところを、ヒロインに散々罵倒される。
「先生、こんなに口が悪く逞しいお姉さん*2をよろしく頼まれてもやる気おきません」
さらに罵倒される……。
「てめー、どう見ても二十歳すぎてんだろ。魔法に頼らず生きてみせろ。俺は魔女っ子帽子をかぶったイカれた頭の成人女性を相手にするほど暇じゃネー」*3
ヒロインの口の悪さに出かかったセリフを我慢する。
「先生、お願いします。口の悪いお姉さんの時間を十年巻き戻してください」


 しばらく封印決定。やはり衝動買いはするもんじゃない。早々にやる気をなくしてしまったので「続けると面白いよ」などの情報があったら教えてください。
 安かったから、財布のダメージは大したことないのが救いだった。

*1:パッケージの絵で衝動買いするなんて久しぶりだ。

*2:娘さんなんて呼べねーよ!

*3:Mな人にはお勧めなのかもしれないが……。