5章〜ENDまで(総合評価)
いや……、これは許されるのでしょうか? 驚きよりむしろ「ハァ? そうですか」って感じのほうが強いです。
謎解きや伏線を楽しむという意味では完全に駄作かもしれません。でも感動ものとしては良作ではないかと思います。
最後は、あっけなく幸せに終わりますが、そこに理由を見つけようとしてはいけません。多数の伏線がのこされたままですが、それらを検討してはいけません。単なる感動ものとして純粋に楽しみましょう。それがおそらく本作の正しい楽しみ方ではないかと思います。
最近、幸せに終わるゲームに飢えていて、何も考えず感動できるゲームを求めている人は買って損はないと思います。
謎解きや伏線を楽しみたいひとにはつらいかも。
以下ネタバレ
璃々子姉さんが実はいつも主人公の隣にいたわけですが、そう考えると伏線で納得できる部分が多々出てくるのですが、逆にそれ以外の描写で、おかしな部分も多々出てきます。それを回避するため。
都会を出てから、ずっとおれについてきたお姉ちゃんだが、必ずしもおれのそばにいたわけではない。
という一文で片付けてしまっています。これに関してはかなりアンフェアで都合良すぎる言い訳かと。
さらに女物の下着を持っている主人公を変態扱いする必要性がなくなってしまいます。下着は見なかったふりをしなければいけないはずなのです。
あと極刑なのに主人公が独り言として話しかけるのが注意だけで済むなんて……そんなに甘い世界なのでしょうか?
とまあ、色々と問題点はあるのですが、おそらくそんなことを考えてはいけないのでしょう。純粋に感動したかしないかを評価すべきなのではないかと思います。
ただ、ライターさんは盛り上げどころをどうもミスしたようで、璃々子姉さんが演説を行うポイントが一番の盛り上がりどころになっています。
その後は、あまりテンションがあがりません。
牢に入れられて脱出する際も、「やっぱりね」と思うだけでしたし、最後はそれほど盛り上がりませんでした。
そのあたりはライターさんも意識していたようで、クライマックスでは主人公ではなくヒロインとその周囲の人々を上手く動かして感動する話に持っていくことを試みています。
と書きましたが、この一番最後の章でここまで貫いてきた形式を変えて、主人公を最後の最後で活躍させてゆきます。どうやら意識していなかったようです。当然、結果として盛り上がりに欠けました(結果としてお姉ちゃんの演説が一番盛り上がるポイントになってる)。
あと全体としては、文章と背景画像が合っていない事が多々ありました。稲穂が黄金色に輝き始めているという描写があるのに、青々としていたり。夜の校舎で暗闇に怯えているのに、昼間のように煌々と明るかったり。その辺りには気を付けて欲しかったです。
以上、厳しいことも書きましたが、謎解きや、伏線を解く楽しみを無視して、純粋に都合の良いHappy Endのお話として楽しめれば、良作なのではないかと思います。
楽しめなければ……それはそれで仕方ないかもしれませんが。