これならわかる簿記・経理―絵とき版

 年明けくらい普段読まない本をよんでみよう、ということで実用書に手を出す。参考までに私はばりばりの理系で簿記も経理も素人でなにも知りません、というわけでもしかしたら変なことを言ってるかもしれないので、そのあたりに気付けば指摘していただけると助かります。
 まず驚くことに本書の初版が1982年発行という事である。私が買ったのが第40刷発行。私が知らないだけで本書はこの分野の名著なのかもしれない。
 次に本書の位置付けであるが題名でも明らかな通り簿記・経理の入門書である。個人的な考えだが入門書に必要な要素は以下の五つだと考えている。

  • 分かりやすい文章
  • 本質を捉える
  • 基本の理解
  • 全体像の把握
  • 専門書への橋渡し

本書はまず全体像ということで経理の仕事とその役割から入り、簿記の役割、借方、貸方の始まり、簿記の目的など、全体を説明した後に、仕分けなどの簿記の基本的なルールに入ってゆく。
 その際、初心者が置いていかれないように、分かりやすい例を用いて、丁寧に説明している。イラストも秀逸で、本書を読み直した後で、もう一度イラストを見直すとそこに描かれている情報量の多さと、わかりやすさに驚く。
 そして簿記の一通りの基本を説明し終えると、実務ポイント、予算管理、P/L、B/Sの分析など、本来の経理の目的に沿った全体像へと話がシフトしてゆく。
 つまり全体(目的)→詳細(目的を達成する手段の説明)→全体(手段を用いた目的達成)と非常に理にかなった構成になっている。
 少なくとも上記の入門書に必要な要素は全て満たしている。
 私のように簿記や経理は全く知らないという人に読んでもらいたい一冊。